裏写りが愛しい

10月のある日、いつもみないポストをふと開けてみると、なんだか少し分厚くてこぶりな封筒が投函されていた。

送り主は大好きな友達だった。なんだろう⁉︎とワクワクしながら小走りで自分の部屋に向かって、部屋に入った途端背負っていたリュックも下ろさずに封筒を開けてみた。

そうすると、ずっと欲しいと思っていた『わたしを空腹にしない方がいい』という本が誕生日をお祝いするメッセージとともに入っていた。

その本は9月に文庫本が発売されたため、留学する前に購入することは叶わず、留学前からこのことに関してはずっと項垂れていた。この本の内容は一部実はネットにも掲載されており、ちらほらと読んではいたがやっぱり自分の手元に実物を置いておきたかった。

そして、私の誕生日は留学して間もない日にちで留学先で誰かが祝ってくれるような目処もないし期待もしていなかった。

それらのこともあって、サプライズでまさかのすごく欲しかった本を、しかも大好きな友達が贈ってくれたことがとっても嬉しかった。ここ最近この本を、1つのトピックが終わるたびにえもいわれぬジワッとした感動によって吐息をこぼしながら読んでいる。

 

本の裏表紙をふとみると、この本を下敷きにしてなにかを書いたんだなと思うと形跡があった。なんて表現したらいいかわからないけど、透明な裏写りのようなそんな感じがする。

はっきりとわかるのが「100g」という文字。その前にも裏写りした文字があるけれど、薄くて読めない。

この本を贈ってくれたのは適当な味付けが天才の、かの魔法使いの友達だ。きっと、この「100g」はなにか料理に必要な材料の重さなのかなあ、あの子らしいなあと思いながら、この裏写りを見るたびにふふっ、となってしまう。

大好きな本、大好きな友達、大好きな友達の優しさ、友達がうっかり残した裏写りがすごく愛しい。

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